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No.5309 特許法
【問】  C44_2J30_3
  化学品メーカーX社は,新規な樹脂に係るインクAの開発を行った。X社は,3DプリンタメーカーY社と技術提携をし,インクAを用いた3D造形に関する共同開発をすべきか否かを社内の各会議で検討している。X社の知的財産部の部員甲の次の考えは適切である。
 Y社と共同で特許出願をして特許権を取得した場合,契約で特段の規定を設けなくても,わが社は,Y社の同意を得ることなく自由にその特許権を他社にライセンスすることができる。

【解説】  【×】
  共有に係る特許権は,各自が他の共有者の同意を得ないで,単独で実施できるものであるが,他人に実施させる場合は,その他人が大企業等であれば,大量生産や効率的な流通ルートを利用することが考えられ,価格の面で競争できなくなり,自分の権利が有効活用できず,無用の長物となってしまうおそれがある。他社にライセンスすることは,通常実施権を設定することであり,Y社の同意なくできない。
 参考:Q1578

(共有に係る特許権)
第七十三条   特許権が共有に係るときは,各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,その持分を譲渡し,又はその持分を目的として質権を設定することができない。
2 特許権が共有に係るときは,各共有者は,契約で別段の定をした場合を除き,他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。
3 特許権が共有に係るときは,各共有者は,他の共有者の同意を得なければ,その特許権について専用実施権を設定し,又は他人に通常実施権を許諾することができない
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R5.7.13