No71 ナイフ加工装置事件
 最一200424 無効主張に対する対抗の制限
【要旨】  】特許権侵害訴訟において特許法104条の3(権利行使制限の抗弁)に基づく主張が認められ、請求棄却判決が確定した後に訂正審決が確定したとき、それが再審事由に当たる可能性はあるが、侵害訴訟における訂正の主張が時機に後れたものである場合には、特許法104条の3第2項の趣旨に照らし、主張が許されない。
【判示】  仮に再審事由が存するとしても,・・特許法104条の3第1項の規定が,特許権の侵害に係る訴訟において,当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められることを特許権の行使を妨げる事由と定め,当該特許の無効をいう主張をするのに特許無効審判手続による無効審決の確定を待つことを要しないものとしているのは,特許権の侵害に係る紛争をできる限り特許権侵害訴訟の手続内で解決すること,しかも迅速に解決することを図ったものと解される。そして,同条2項の規定が,同条1項の規定による攻撃防御方法が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは,裁判所はこれを却下することができるとしているのは,無効主張について審理,判断することによって訴訟遅延が生ずることを防ぐためであると解される。このような同条2項の規定の趣旨に照らすと,無効主張のみならず,無効主張を否定し,又は覆す主張(以下「対抗主張」という。)も却下の対象となり,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を理由とする無効主張に対する対抗主張も,審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められれば,却下されることになるというべきである。

【解説】  ★
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