【要旨】 発明の要旨の認定は,特段の事情のない限り,特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。 |
【判示】 特許の要件を審理する前提としてされる特許出願に係る発明の要旨の認定は,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは一見してその記載が誤記であることが発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなど,発明の詳細な説明の記載を参酌することが許される特段の事情のない限り,特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。 |
【解説】 ★【判決抜粋】 特許法29 条1項及び2項所定の特許要件,すなわち,特許出願に係る発明の新規性及び進歩性について審理するに当たっては,この発明を同条1項各号所定の発明と対比する前提として,特許出願に係る発明の要旨が認定されなければならないところ,この要旨認定は,特段の事情のない限り,願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきである。 特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限って,明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されるにすぎない。 このことは,特許請求の範囲には,特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならない旨定めている特許法36 条5項2号の規定(本件特許出願については,昭和50 年法律第46 号による改正前の特許法36 条5項の規定)からみて明らかである。 ※ この規程は,特許権になる前の段階であることに留意のこと |