【要旨】 わが国で現実にそれほど使用されていなくても,外国での使用により,わが国の取引者,需要者にも広く認識されている商標は,保護されるべきである。 |
【判示】 商標法第4条第1項第10号所定の「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」とは,わが国において商標として使用された結果「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標をいうだけではなく,主として外国で商標として使用され,それがわが国において報道,引用された結果わが国において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標を含むものと解するのが相当である。 その理由とするところは,次のとおりである。 即ち,商標法第4条第1項第10号に定める要件が商標登録拒絶事由,商標登録無効事由とされた立法趣旨には,商品の出所の混同を防止することが含まれることが明らかである。 そして,この立法趣旨からみれば,主として外国で商標として使用され,それがわが国において,価値のある商品,権威のある商品を表示する商標として報道,引用された結果,わが国において「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標と,わが国において商標として使用された結果「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るようになった商標とを区別して,前者の商標またはこれに類似する商標の登録を認めることによる商品の出所の混同を容認する理由はない。 また,同号には,「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され」るに至った原因を後者にのみ限定する文言もない。 さらに,右条項にいう,「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」とは,わが国において,全国民的に認識されていることを必要とするものではなく,その商品の性質上,需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には,その需要者の間に広く認識されていれば足りるものである。 すなわち,その需要者において商品の出所の混同が生じてはならないからである。 |
【解説】 ★ H17−13T |