職権審理の結果の不通知   
  
 審判請求理由については判断せず、それ以外の理由について認定判断した瑕疵があり、当該認定判断も誤っているとして審決を取り消した高裁判決〔平12・1O・12(11行ケ366)〕は、特許法153条2項所定の手続を欠く暇疵があっても、不意打ちにならないと認められる事情のあるときは、審決取消事由とはならない。
最三小H14.9.17(13行ヒ7)

拒絶理由通知の欠如
 進歩性の欠如を理由とする拒絶理由通知がされたときは、通常は改めて新規性の欠如を理由とする拒絶理由通知をする必要はないが、当該引用例に同一性の示唆があると理解できないときは、特許法159条2項、50条違反の違法があり、審決の結論に影響を及ぼす。
 (進歩性の判断は当然には新規性の判断を包含しない)
S59.9.26(56行ケ8)

 進歩性の欠如を理由とする拒絶査定の不服審判において、改めて拒絶理由通知をすることなく、同一引用例との同一性を理由に新規性なしとして不成立審決をしたことは、特許法50条に違反し、審決の結論に影響を及ぼす
H1.5.31(62行ケ225)

 複数請求項の一部につき、拒絶理由通知がされていないのに、これを含む全請求項を取り消したのは、当該一部の請求項に係る部分について特許法50条違反の違法があり、審決の結論に影響を及ぼす
H12.4.25(12行ケ51)

Cf.異議申立ての理由として主張された理由と同趣旨の理由で拒絶する場合は、改めて拒絶理由を通知する必要はない。
H8.9.10(5行ケ124)

Cf.審判における再度の拒絶理由通知は当然に審査における拒絶理由を否定するものではないから、当該拒絶理由について再度の通知は不要。
H15.4.23(14行ケ455)

Cf.周知技術については、特段の事情がない限り、特許法50条の適用はない。
H16.10.18(15行ケ373)