取消判決の拘束力   【戻る】
  
 引用例Aに基づく容易想到性を肯定した無効審決の審決取消訴訟で、その容易想到性は認められないとして審決が取り消された場合に、再度の審判手続で再び引用例Aに基づく容易想到性を裏付けるための新たな立証をすることは、取消判決の拘束力に反し、許されない。
最三小H4.4.28(63行ツ10)
H15.6.17(14行ケ322)

主引用例の交換   
  
 引用例Bを主引用例として引用例B及び引用例Aに基づく容易想到性を否定して、これを容易とした拒絶不成立審決を取り消す判決が確定した後に、引用例Aを主引用例として引用例A及び引用例Bに基づく容易想到性を肯定する再度の拒絶不成立審決をすることは、取消判決の拘束力に違反する(引用例A及び引用例Bのいずれを主引用例とするかは、両者との関係で進歩性を有するか否かを判断するに際しての判断方法の間題にすぎない)。
H9.9.25(9行ケ87)

Cf.取消判決の拘束力の及ぶ範囲は、主文を導くのに必要な主要事実に限定されず、主要事実を導くための前提事実(間接事実)も含まれる。
H13.5.24(10行ケ267)

Cf.特定の引用例に基づく容易想到性を肯定した取消判決の拘束力は、当該引用例に係る組合せの阻害要因の不存在についても及ぶ。
H16.4.21(15行ケ416)