1 「者」・「物」・「もの」
「者」というのは,法律上の人格を有するものを表す場合に用いられる言葉である。
したがって,「者」には,自然人と法人が含まれるが,人格のない社団・財団は含まれないのが原則である。
「物」というのは,法律上の人格を有するもの以外の有体物を指す場合に用いる。
「もの」というのは,法令上いろいろな使い方がなされる。
第1に,自然人や法人のほかに人格のない社団・財団を含んでいるような場合には「もの」が使われる。
第2に,有体物以外のものを含んでいるときは,「物」ではなく「もの」が使われる。
第3に,「者」や「物」に当たらない抽象的なものを指す場合に用いられる。このほか,「日本国民たる年齢満20年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するもの」という例のように,英語の関係代名詞的に,先行する用語を受けて,「・・・で・・・もの」という形で一定の者や事物を更に限定するような場合に「もの」が用いられる。