挙証責任<きょしょう せきにん>
審決取消訴訟では、「審決に違法はない」ことを弁論終結時までに裁判所(官)に確信を抱かせなければなりません。
裁判所(官)が判決をする場合、そのために直接必要な事実関係の存否の真偽が不明の時は、その存否をどちらかに不利(有利)に擬制して当事者の一方に不利益を負担させます。
その不利益あるいは危険負担を挙証責任(民事訴訟では「証明責任」)といいます。
審決取消訴訟では「審決に違法はない」ことを証明する責任は、被告側にあります。
したがって、極端な場合、原告が「審決は違法だ」とのみ主張して、証拠その他を提出しない場合、被告が「原告は主張するだけで審決の違法性を立証していない。」と反論するだけでは、「審決に違法はない」ことを誰も立証していませんから、挙証(証明)責任のある被告に不利益が負担させられる結果、「審決取消」という判決がなされることにもなりかねません。
審決取消訴訟は、裁判所(官)に、「審決に違法がない」ことの確信を抱かせるための主張・立証行為であるということを銘記しておかねばなりません。